中高一貫教育の最大のメリットは6年後を見据えた統合カリキュラムにより継続的、効率的に学習できる点にあります。
大学入試改革の基本となる新学力観では、これまでの知識・技能の習得はそのままに、加えて、多様な能力や人間としての成長が求められています。
通常、中学校の目標は高校入試ですから、高校入学後に3年間でこういった力を身に付けるには大きな負担がかかります。
本校の総合カリキュラムは6年間の計画的学習の中で、新しい大学入試や次世代に必要とされる力を着実に身に付けるように作られています。
【ポイント】
●一人ひとりの可能性を広げる
●ハイレベルな実力を培う
●希望する進路実現に伴走
継続した指導による学力の伸びが実績に表れています。(13期生・現高校1年生)
高校受験がないため、6年後の大学受験を見据えた緻密なカリキュラムを構築し、効率よく授業を進めています。すべての教科で、「オリジナルテキスト」を作成・活用したハイクオリティの授業。そして、生徒一人ひとりの習熟度に合わせた課題や補講体制など、すべての生徒にアプローチできる指導体制を整えています。
小学校4年生から放課後や休日には学習塾に通う首都圏と異なり、成蹊中に入学する生徒のほとんどは普通の小学校で学び、放課後や休日は友人と遊んだり家族と過ごしたり、のびのびと生活してきた子どもたちです。しかし、そんな子どもたちが中学校・高校の6年間で、入学時には想像しなかったような自己実現を果たします。中学から高校にかけての期間は青年期の前半にあたり、人間が身体的、心理的、社会的に大きく成長する時期です。
本校では発達過程に合わせて6年間を3つの段階に分けています。中学1・2年の前期教育期間で価値観や生活習慣をしっかりと身に付けることで人間としての「土台」を作り、そこから中期、後期教育期間と経験値を高めていくことで、受験や社会に出てからの困難に立ち向かうことのできる精神力、生活力を養います。
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朝読書のススメ
前期教育期間(中学1・2年)では毎朝30分の読書を行っており、100冊の推奨図書を定めています。これらは「伝記」「自然科学」「社会科学」「人文科学」「読み物」の5つの分野から成り、多くの世界へ興味関心を拓きます。
プレゼンテーション能力の向上
社会生活の基礎となるコミュニケーション力を磨くために、本校では中学校課程でプレゼンテーションの機会を多く設定し、基礎学力の一つとして育んでいます。一人ひとりが主体的に考え、討論し、発表する活動を、タブレットやプレゼンテーションソフトの活用も含め、行っています。
ICTが促進するアクティブ・ラーニング
本校では校舎全体にWi-Fiを完備し、全ての教室やスペースで1人1台のタブレットを使用した活動を行うことができます。また、ICTを活かす学習サポートシステムの導入により、効果的なアクティブ・ラーニングの推進が可能になっています。
実践的な難関大入試演習
高校3年生で難関大学合格に必要な質と量ともに徹底した演習を行います。一人ひとりの合格に必要な課題を見つけ、志望大学合格へと導きます。
本校では中学校課程の3年間で39泊53日、高校課程の3年間で28泊37日の宿泊行事があります。宿泊以外も含め、さまざまな鍛練的、文化的、探究的行事を通して、生徒は多くの経験を積み上げていきます。なかには失敗もありますが、そのときに、何がいけなかったのか、どうすれば良かったのかを深く考えることで主体的な姿勢が生まれ、友人と協働して困難を乗り越えることで大きな達成感を得ていきます。
中学校と高校の合同行事も中高一貫教育の強みです。学年を越えたつながりの中で、後輩は先輩の姿を通して自分の将来を見ることができ、また、先輩は後輩の模範としての自覚から、それぞれが大きく成長していきます。それぞれの経験をICT(タブレット等を用いた情報通信技術)を活用して記録に残していく(=キャリアパスポート)ことで、自己の成長を振り返ることを可能にし、大きな成果へとつなげていきます。
滑走技術と公共でのマナーを
仲間と学んだスキー教室
私の印象に残っている学校行事はスキー教室です。先生方の指導のおかげで、2泊3日の行程の中でスキー技術の向上を図ることができました。仲間と一緒だったことが刺激になり、練習に力が入ったことも奏功しました。一方で、校外での活動で少し気持ちが大きくなったところもあり、公共の場でのマナーを改善した方が良かったという反省点もありました。さまざまな経験や気づきにあふれる、有意義な3日間となりました。
中学2年
富野 心葉
[国見町立国見小学校出身]
4
月5
月6
月7
月8
月9
月10
月11
月12
月1
月2
月3
月社会情勢によりスケジュールが変更になることがあります。
情報技術や交通の飛躍的発達によりグローバル化の進展はとどまることはありません。ボーダーレス化しつつある世界の中で、現在の子どもたちのほとんどは異文化の人々と自然にコミュニケーションをとり、共に働いたりすることでしょう。本校では国際理解教育を推進し、グローバル社会で活躍するための基礎作りを行っています。もちろん語学力も大切ですが、それ以前に人として異文化を理解する心や柔軟に考える力が必要だと考えます。
リングイスト語学スクール代表
福島学院大学英語講師
伊藤 オディ先生
「日本人をやめ英語人へ」
NPO法人
「ルワンダの教育を考える会」理事長
永遠瑠(トワリ) マリールイズ先生
東北大学 理学研究科 准教授
齋藤 真器名先生
カナダ(ビクトリア、バンクーバー)
英語でのプレゼンテーション、日本文化体験交流、一人1家庭のホームステイ など
カンボジア(シェムリアップ)・ベトナム(ホーチミン)
ベトナムからの留学生との交流(事前学習)、小学校訪問、日本文化体験交流 など
文化や言語の異なる人と心を通わせる貴重な経験
コロナ禍を経て、再び異なる文化や言語の人々と直接交流できる機会が設けられたことをとても嬉しく思います。カナダでの研修旅行では、セント・アンドリュース校での生徒交流が一番の思い出になりました。私たちが日本文化について英語でプレゼンテーションを行った際、大きな歓声が沸き上がりとても感動しました。この時の経験を糧に、相手の文化や人種、考えを理解し、その違いを尊重できる素養を身につけたいです。
高校1年
中島 恋
[福島市立森合小学校出身]
全員が実用英語技能検定を受験し中学校課程での準2級取得を目標にしています。中学生でも2級、準1級を取得する生徒も出ています。また、ALTによる授業やオンライン英会話など、実践的な英語力の育成も行っています。
教育におけるリベラルアーツとは、「生きた、実践的な教養」を意味します。これまでの学力観では、正解を出せる人が評価されてきました。しかし現実の社会で起こっていることは、一つの正解を見いだすことが難しい問題ばかりです。グローバル社会の中では、民族も宗教も違う人たちが「自分の考えは正しい」と信じて争っています。そこでは「ひとつの正解」よりも「多様性の理解」がとても大切になり、そのためには自分のマインドで考え、自分のハートで感じ、自主的に判断し行動することが求められます。
リベラルアーツを咀嚼し、自分のものとして消化することで広い視野や独自の視点を獲得し、人生がより深く意義のあるものとなる、それこそが「生きる力」と言えるのではないでしょうか。
◆ 芸術・文化体験
作品に触れ、メッセージを汲み取る力=想像力を鍛えることで感性が磨かれていきます。大切なのは「本物」に触れることです。それを見て何を感じ、想像が広がるのか今まで知識として知っていたことが、経験とリンクし、単なる知識が知恵になっていきます。
◆ 茶道教育
国際社会においては異文化を理解することはもちろん、自国の文化を伝えていくことも大切です。本校では裏千家助教を講師に、敷地内の茶室「自蹊庵」にて6年間、茶道教育を実施し伝統文化継承の意識と礼儀作法を学びます。
基礎と知的教養を得る学び
中学では単語や文法、構文などの基礎を固めるため、語源や文法の成り立ちまで教えています。そのうえで高校では、大学入試問題を中心に対策をしています。問題に関する文化的背景を深く掘り下げ、知的教養が身に付くよう工夫して教材を選んでいます。
Message困難に立ち向かう力を育む
生徒の皆さんには、飢餓、疫病、戦争と歴史上の3つの困難な課題に対し、幅広い知識と教養、深い洞察を持って取り組む精神を体現できる大人になってほしいと願っています。そのサポートのために、私たち教員も常に向上心と熱意を持ち、おごらず誠実に生徒と向き合い、ともに学んでいきたいです。
石澤 直樹
高校3年 菅野 はるか
[福島市立福島第一小学校出身]
Real Voice学びの本質に迫る授業
石澤先生は、生徒の実力向上を一番に考えてくれる熱心な先生です。文法や単語の成り立ちなど英語の本質から、テーマに沿って歴史的背景や国際情勢にもふれる長文問題の解説まで、分かりやすく教えてくださり教養の深さを感じます。先生の指導のおかげで視野を広く持って学ぶ大切さを実感しています。
数学にふれる時間を楽しむ
数学は単元ごとのつながりが深いため、基礎固め、そして考えて解く時間を大切にしています。生徒の持つ疑問に応えること、多様なアプローチを提示すること、大学入試に向けた授業と演習を充実させることを重視し、大学入試問題の研究に力を入れています。
Message問題を解ききる粘り強さを
科学技術発達の基盤となるのが数学です。一方で数学は1度つまずくと苦手意識を持ちやすくなるため、分からない部分をあいまいにしないよう、生徒が納得いくまで向き合う時間を設けています。数学を学ぶ中で得たことをどう活かすかを考え、解ききる粘り強さを養っていくことに期待します。
菅野 風舞
中学3年 幕田 悠介
[桑折町立伊達崎小学校出身]
Real Voice先生の指導で数学が得意に
風舞先生の授業はとても分かりやすく、つながりが深い単元をまとめるなど、効果的な先取り学習を行っています。また生徒一人ひとりに合った授業や発展的な課題を用意してくれ、個々の実力を引き上げてくれます。伸び悩んだ時に先生からいただいた肯定的なアドバイスが、今も私の力の源です。
国語力を高め教養を深める
文章を正確に読み取る読解力と、それを正しく伝える表現力の習得を重視しています。また古典を学ぶことで自国の歴史や文化に興味を持ち、教養を身につけることで人として成長していくことに期待しています。
Message広く深く考える力を持とう
評論文のさまざまなテーマ(言語・環境など)を学ぶことで総合的な知識を身につけ、幅広い分野で物事を考える思考力を持ってほしいと考えています。生徒の学力向上のための教材研究、安心して学び生活できる学校環境づくりに力は惜しみません。
齋藤 光
知識をつなげ世界を広げる
社会科は暗記科目と思われがちですが、暗記した基礎知識は有機的につながっています。そこで授業では、生徒が暗記した基礎知識を関連づけ、知的好奇心を刺激する内容となるよう意識して指導しています。
Message強い気持ちで学習しよう
基礎的な知識の定着は根気強く行うことが何よりも大切です。さまざまな知識が覚えられると、歴史・地理・公民の分野にとらわれず、多くの出来事につながりがあることに気づくはずです。
赤井田 亮彦
身近な不思議を科学的に捉える
中学では身近な事物・現象に興味・疑問を持つところからスタートし、知識や技能を獲得していきます。高校では中学での学びとのつながりを意識し、原子・分子レベルで現象を理解・説明する力を育てていきます。
Message自主自立の精神を養おう
疑問を持ち続け、常に思考しながら探求的に理科を学んでほしいです。「分かる・できる・使える」のステップを踏んで大学入試で得点できる力を養いながら、その過程で自ら考え学習・行動する力を育み、社会に出てからは自分で道を切り拓いてほしいと思います。
末永 誠徳