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福島フィールドワーク 一人ひとりが福島のスポークスマンに

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福島フィールドワーク 一人ひとりが福島のスポークスマンに

2019.10.01

高校

 9月21日㈯、福島フィールドワークを行いました。

 これは特別進学コースの行事で、
○福島の自然や農作物について体験的に学び、将来、県外に出た際に福島のことを自らの体験を通して語れるようになる。
○風評被害などに対して福島の復興を担う人材となれるように、震災・原発事故について学び、正しい情報・知識を身につける。
・・・ことを目的としています。特進コースの生徒は、高校卒業後には福島から離れる者も少なくありませんが、そうであっても、福島のことを正しく伝えられるように、そして、直接、間接の違いはあっても、福島に貢献できる人材として成長するための取り組みでもあります。

 この行事をより有意義なものとするために、2回の事前学習会を行っています。

 1回目は9月12日㈭に環境再生プラザアドバイザーの安藤宏先生を講師にお招きし、放射線の基礎について学びました。そもそも放射線とは何なのか、8年前に飛び交った「シーベルト」「ベクレル」ですが、これらはどんな意味があり、どう違うのか。現実的にどのくらいの数値なら問題があり、どのくらいなら気にしなくてもよいのか、などを科学的に分かりやすく解説していただきました。また、その場で放射線(正しくは放射線が飛んだ跡)が見える実験も演示してくださいました。アルコールを用い、飛行機雲の原理で見えるようにしているとのことです。(下に動画があります)

 2回目は9月14日㈯に相馬双葉漁業協同組合青壮年部の高橋 一泰先生、福島県水産事務所漁業振興課の伊藤貴之先生を講師に相馬の漁業の現状について学びました。震災後の試験操業から現在までの様子や、福島県の魚介の安全性を訴える県外でのPR活動のこと、また、検査の仕組みや、結果の安全性(国よりも2倍厳しい基準で検査を行い、問題がないとのことでした)などのお話がありました。

 そして、当日、午前に「東京電力廃炉資料館」「特定廃棄物埋立情報館『リプルンふくしま』」を訪れました。どちらも双葉郡富岡町にある施設ですが、「廃炉資料館」は原発事故の状況や廃炉の現状などが展示されており、生徒たちも神妙な面持ちで見学していました。原発内での作業で使用しているマスクを着用するコーナーもありました。「リプルンふくしま」は、放射性物質に汚染されたごみの埋立処分についてわかりやすく学べる体験型の情報館です。特定廃棄物の埋立処分事業の概要や必要性、安全対策、進捗状況などについて「さわり」「遊び」ながら、「知る」ことができます。実際の埋立場の見学も行いました。

 午後からは新地町の相馬地域開発記念に移動し、野外炊飯を行いました。2回目の学習会でお世話になった相馬双葉魚業組合さんより相馬沖でとれたカレイを準備していただき、バーベキューです。肉厚の、卵がたっぷりと入ったカレイで、焼き上げるのにかなり苦戦していましたが、何とか完成。「おいしい!」の歓声が上がりました。

【生徒感想】
○施設見学では放射線や廃炉現場の状況などをくわしく学ぶことができました。また、被災地を通行し、被害の大きさを間近に感じることもできました。東日本大震災は私たちに大きな被害をもたらしましたが、地震、津波、原発事故の記憶を風化させずにこの恐ろしさを伝えていきたいと思いました。
○僕は小学1年生まで浪江町に住んでいましたが、バリケードがあったり営業していない店が並んでいたり草や木が生い茂っていたりと、あの頃とは全然違った町でした。野外調理で福島の魚を焼いて食べましたが、安全を確かめられた魚はとてもおいしかったです。
○今回は自分たちの体験した東日本大震災を改めて学びました。リプロンふくしまや廃炉資料館、雑草で看板が見えなかったり建設事務所になった洋品店などの町並みの景色から震災当時の状況、そして今の状況まで理解を深めることができました。福島の現状を、震災の体験をもっと多くに人に知ってもらい、これからの世代にも伝えて行きたいと思いました。

放射線が見える実験(正確には放射線が飛んだ跡)