福島成蹊中学校・高等学校 福島成蹊中学校・高等学校

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学校茶道

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学校茶道

2020.10.04

中高

 中高一貫コースでは学校茶道を行っています。

 本校では教育目標の一つに「これからのグローバル社会において、多様な文化を理解し、課題解決に向けて果敢にチャレンジする心を育みます。」と掲げています。

 「グローバル化」と「国際化」は似ていますが、実はまったく異なる考え方を示しているように思います。「グローバル化」が地球全体が一つとなること、すなわち、国境や文化がなくなっていくことを示しているのに対し、「国際化」は国家同士が関係を強め、相互に協働していくこと、すなわち、それぞれの文化を維持した上で良好な関係を築いていくことを指します。これは一つの解釈であり、どちらが正しいという問題ではなく、今後、私達の世界が地球規模となっていくことは間違いありませんので、よりよい世界を作っていく上で、これらの考え方をどのように活用していくかが重要なのだと思います。

 本校の学校方針では「多様な文化の理解」を標榜していますが、その前提としては「自文化(日本文化)の理解」が必要であり、その手段の一つとして茶道教育を行っています。

 茶道は「もてなし」と「しつらい」から成っています。「もてなし」とは「一期一会」に象徴されるように、他者との出会いを大切にし思いやりを持って楽しんでいただこうとする心です。「しつらい」は楽しんでいただくために茶室をかまえ、庭園を整え、衣服を正し、茶碗、釜といった道具をそろえたり、掛け物などの美術品を飾ったりすることです。すなわち、茶道とは日本文化のきわめて広い分野に渡っており、本校が茶道を選択したのは、もっとも総合的に日本文化を理解できると考えたからです。

 本校では裏千家助教の齋藤宗緑先生を指導者としてお招きし、学校茶道や部活動としての茶道部の指導もお願いしています。生徒が学ぶのは茶道の作法が中心ですが、それは単なる所作ではなく、一つ一つにどのような意味があるのかを教えていただきます。また、「畳の縁を踏まない」「ふすまの開け閉めには両手を添える」といった日常的な立ち振る舞いも自然と身についていきます。そういった活動を通して「和敬清寂」とも称される茶道の精神、引いては日本の伝統的精神文化を自然と身につけていきます。

 「異文化を理解する」ことは同時に「日本文化を理解していただく」ことも含んでいます。中高一貫コースでは中学2年でカナダ、高校2年でカンボジア・ベトナムで海外研修を行いますが、その中の学校交流のときにお手前を披露し、お茶を飲んでいただくことで、「小さな外交官」として日本文化の理解に務めています。また、海外からのお客さまも積極的にお招きし、お茶をふるまっています。

 校内には京都に由来のある茶室「自蹊庵」があります。「自蹊庵」の名は茶室披きの際に裏千家の千玄室大宗匠により命名され、額を揮毫いただきました。お庭にも四季の変化を映す草木や由緒のある灯籠なども整い、この上ない環境があります。

 10月1日㈭には高校3年生が学校茶道として最後のお稽古を行いました。6年間学んできただけあり、さすがに所作の一つ一つが決まっています。卒業後は難関大に進む生徒も多く、将来は日本を代表する立場で日本文化を広めてくれることと楽しみにしています。